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新豊橋駅から豊橋鉄道に乗って三河田原駅までやって来た。白壁の蔵のような立派な駅舎を出ると、すぐわきにバス停が立っていたので迷うことはなかった。接続よく伊良湖岬行きのバスが入ってきた。このバスは豊橋駅始発なので鉄道にこだわらなければ豊橋から乗り換えなしで伊良湖まで行くこともできる。
写真は終端部から見た駅構内。単線の終着駅ながら、2面3線を有しており風格がある。かつて黒川原まで延びていた線路は戦時中の物資供出で撤去されたそうです。

三河田原駅・駅舎。
駅を出るとバスは国道259号線を西へと向かう。最初のうちは渥美半島の背骨部分を走るので三河湾の見晴らしが素晴らしい。遠くに風力発電の巨大な風車がいくつも見えた。三河湾と遠州灘に挟まれた土地柄だけに年間を通じて風が強いのだろう。
259号線は三河湾側の海岸線に下って伊良湖岬へ至る。東京方面から伊勢方面へ短絡する目的で伊良湖へ向かう車は遠州灘沿いの国道42号線を利用するものと思われる。国道42号…見覚えのあるナンバーだ。和歌山市から紀伊半島の外周をぐるっとまわる国道が42号だが、終点はてっきり三重か名古屋あたりと思い込んでいた。そうではなくて、なんと鳥羽から伊勢湾を横断して浜松で1号線につながっていたのだ。国道の起点・終点というのも調べてみると興味深いものだ。ちなみに、鳥羽と伊良湖の間を橋梁かトンネルでつなごうという希有壮大な計画もあるらしい。

俯瞰して見えているわけではないが、半島がだんだん狭まってきて先端まで近づいてきた気配を感じる。前方の坂を下った先に広い駐車場、そしてフェリー乗り場が見えてきた。伊良湖岬バス停に到着。「岬」とはいうものの、突端部分は小高い山の向こう側にあるので灯台も見えない。バス停を降りた目の前には「道の駅・伊良湖クリスタルポルト」の3階建てのビルが建っている。前述のとおり伊勢湾フェリーも国道の一部を成しているから、というわけでもないだろうが、フェリーのチケット売り場は道の駅の2階に入居している。ちょうどお盆の繁忙期ということもあり、売り場の前には長い列ができていた。

チケットを入手してから乗船までの待ち時間は土産物店をのぞいたり港を散歩したり…。こういう場所ではあまり退屈しないものだ。乗船開始のアナウンスを聞いて徒歩で船内へ。大型の観光バスも続々と乗り込んできた。船室は中高年の団体客で大入りになった。1時間弱の航海。人込みを避けてデッキで遠くの陸地や過ぎ行く船を眺める。鉄道とは違う景色の広がりが新鮮で楽しい。
陸地が近づいてきた。以前、師崎から鳥羽に来た時のことが思い出される。前回と同じく真夏の日差しが水面に眩しい。船を降りてまた汗だくになりながら近鉄・中之郷駅まで歩いた。

遠州鉄道・西鹿島駅〜飯田線・水窪駅
名松線・伊勢奥津駅〜近鉄・名張駅
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